ステンドグラス 寸法加工(仕立て直し)

 

 10年ほど前、新築時にステンドグラスを制作させていただいたお客様から

「今度引越しするのでステンドグラスを持っていきたい、移設は可能でしょうか?」というお問い合わせを頂きました。

 

下の写真が当工房が制作10年前に設置させて頂いたステンドグラスです。(寸法 各w40㎝×h90㎝

 

 

 

 

 

 

新たに設置希望の場所は玄関横の90㎝×200㎝というFIX窓
2枚のステンドグラスの配置、施工方法などをご心配されていました

 

私は下記のような理由から一枚に仕立て直す事を提案させていただきました

 ・せっかく大きな窓になるのだから開放的な雰囲気を壊すのはもったいない
 ・とりあえず設置した。という印象にはしたくない

 
 

施主様は「二枚のステンドグラスを一枚に仕立て直すことが出来る」という事に驚いておられましたが

完成予想のデザインをご覧になったうえでご依頼くださいました

ステンドグラスは、かなり自由に手直しが可能なのです

 

 


寸法加工の作業工程

1. ステンドグラス撤去

 

状態確認

 (工房で撮影)

2. 完成予想

 

二枚をジョイントしてこんな風に
一枚にしてゆきます

 

今はまだ並べてあるだけです


3. 鉛線(ステンドグラスの黒く見える部分)の切断

 

ジョイントする部分の鉛を切り

分解

4. 採寸

 

寸法はとても重要です

今回の出来上がり寸法は

幅394mm×1807mm

 

1807mmが大切な基準になるので何回も確認しながら作業をします


5. ガラスを切ります

適当に見えますがかなりシビアなんですよ

 

割らないように注意して

6. 新しいピースのカット

 

既存のパネルに使っていたガラスは今は入手不可能

 

ストックしていたガラスから切り出し出来るだけ同じ表情に仕上げます


7. 色の確認

 

丸印の上に6.で切ったガラスが来るのです

8. 細部の検討

 

組み上げながら細部を調整し、正確な寸法を出します

 

こうしてばらしてみると12年前の自分も真面目な仕事をしていたので嬉しくなりました


9. ピースを外す

 

デザイン的に不要となるこの丸印のガラスは外します。

そして自然なデザインになる様に新規のガラスから切り出します(次)

10. 新しいピースのカット

 

新しいガラスからカットします


11. 

 

形通りカット終了

 

 



鉛線の交換

12. 鉛の修復

 

傷付いた鉛も修復します

13. 鉛のカット

 

傷ついた鉛をのこぎりで切って

取り除きます


14. ガラスを傷つけず鉛線が綺麗に外れました

これは裏からの作業なので鉛線の傷は見えません

15. 新しい鉛線

 

新しい鉛線を切り出します

 


16. 染めの準備

 

細かい所の修復、手直しが終ったら組み上げて酸で染めます。

後はパテ、クリーニングを徹底的に行ない出来上がりとなります

17. 寸法チェック

 

(加工した縦の)予定仕上がり寸法は1807mm

 

合格!



設置作業

16. ステンド部分を設置するご新居の窓です

 

この日は雨まじりの天気のため

かなり曇っています

17. 受け金具の設置

 

窓枠の上下にL時金具を固定

なるべくその金具が目立たない

ように設置します

 

これは天井部分



18. 設置終了

 

 

 

枠に入れたステンドグラスを上下の金具に

固定して終了、昼から始めた作業も既に夕方です

 

建物も枠も正確無比に出来ている訳ではありません

位置、垂直だしは人の目に自然に見える様シビアな作業となります。完璧なクリーニングをしているのでガラスは新品同様の美しさです

 

掃除が出来るように裏には手の入るスペースを確保してあります

脱着も5分ほどで出来ます(プロの場合)

 

 

 

一番上の2枚の写真と比べてみると、存在感がかなり違うと思うのですがいかがでしょう

 

デザインも違和感無くまとめることが出来たので施主様も喜んで下さいました、今後も末永く可愛がってあげて下さい

 

ありがとうございました

 

 

ステンドグラスの寸法加工、修復などもお気軽にお問い合わせ下さい